1cm満たない小さな青いお花が、春の花壇に涼やかさと彩りを与えてくれる。青色のお花は、他のカラーに比べて種類が少なく、青といっても紫に近いものが多いけれど、ワスレナグサ(勿忘草、忘れな草)は、美しい青のお花。
青も2種類あって、水色と濃いめの青があり、他にピンク、白があります。
5枚花弁で茎の先端に数輪花をつけ、くるりと曲がった茎の先は、たくさんのつぼみがひかえています。開花しながら伸びていき、開花した後は、種ができます。
4月頃から咲き始める、草丈30cm前後のワスレナグサは、株元からたくさんの茎をだし、その先にお花をつけるため、空間に小さな青い点をいくつも生み出し、全体を柔らかなブルーで包んでくれます。
高さの違う、色とりどりの球根チューリップや水仙と合わせたり、また、他の一年草のビオラ・パンジー・ノースポールなどと合わせても、華やかで可愛いガーデンが作れます。
ワスレナグサの種類
ワスレナグサには、水色、青、ピンク、白があります。
よく見かけるのは水色で、ワスレナグサと言えば水色のイメージがあります。水色のワスレナグサがやはり人気があるため、よく出回っているのだと思います。
続いてピンクで、濃い青と白はあまりみかけません。
水色
青
ピンク
ワスレナグサの花言葉
「真実の愛」「私を忘れないで」
ワスレナグサのデータ
花名
勿忘草・忘れな草・ワスレナグサ
別名や和名
シンワスレナグサ、ノハラワスレナグサ、エゾムラサキ
学名
Myosotis
ハツカネズミの耳を意味する学名です。ワスレナグサの葉は、細かな産毛に覆われていて、形も中央が少し折れ曲がった楕円形で、ネズミの耳のようでもあります。

種小名
※種小名(しゅしょうめい)とは、二名法に基づく学名表記の際、属名に続いて表される一語
scorpioides
サソリの尾に似たと言う意味。
可愛いワスレナグサに似合わない名前ですが、咲き始めのワスレナグサの先端には、つぼみがくるりとたくさん付いていてその様子がサソリの尾に似ているためつけられたようです。

英名
forget-me-not
※私を忘れないでと言う意味。
ムラサキ科ワスレナグサ属
分類
一年草
開花期
4~6月
花色
水色、青、ピンク、白
草丈
20~50cm
原産地
ヨーロッパ
育て方のポイント
日当たり風通しよくする。原産地では、多年草ですが夏の暑さと過湿に弱いため、北海道などの気温の低い地域を除き、日本では夏越ししにくく一年草扱いになっています。
ですが、こぼれ種でどんどん増えてくれますので、毎年楽しむこともできるでしょう。
来年も楽しむためには、お花をある程度楽しんだら、切り戻さず種を育てましょう。
ワスレナグサを育てる
2020年2月
2月葉の間から数本顔を出しています。

2020年3月
品種名がラベルになかったので、濃い青かどうかはっきりしなかったけれど、数輪咲いているお花を見ると、濃い青のようだったので購入。

1ヶ月たつと水色の方は、だいぶん咲いてきました。肥料のやりすぎか葉っぱがぎゅっとしています。

2020年4月


4月ピンクの苗を見つけたので、購入し植える。4月後半には、たくさん花が咲いてくれました。

2020年5月

早くから植えていた水色のワスレナグサは、だいぶん下の方に種ができています。

濃い青だと思っていたワスレナグサが、水色とあまり変わらない色になってしまいました。
ただ水色は、肥料や植え時期の問題か、葉がぎゅっとしていて、花の茎はあまり伸びない印象です。
それに比べ、後から濃い青と思って植えた方は、茎と茎の間が開いていて、花茎も切花に出来るくらい長くでています。
色が水色に近づいているのは、肥料不足なのか、もともと水色の品種なのかわかりません。

ピンクは、とても生育がいいです。

5月後半のピンク、だいぶん茎が伸びてしまいました。


3種とも、種がだいぶんできてきました。
今年は、水色を植える時期が悪かったのか品種の問題か、お花はたくさんついたのですが、ふわっと揺れる感じにならず、少し残念でした。濃い青と思った方は、花が少なめでした。ピンクは、とてもよく育ちました。
来年のこぼれ種が楽しみです。
こぼれ種と言えば、7月に入って、玄関横においてある小さな鉢を見ると、早くもピンクのワスレナグサが芽を出していました。植えた覚えはないのですが、ピンクのワスレナグサを手に持ちながらこの鉢の花柄をつんでいたような。。とても繁殖力がありますね。


ワスレナグサを家で楽しむ
ワスレナグサは、浅いガラスのお皿に水を張って飾っても可愛いです。
押し花にすると、UVアクセサリーやクリアリウム、押し花小物に使えます。
ピンクのワスレナグサは乾燥させると(押し花)、アントシアニンの関係でピンクから薄紫色になります。ピンクの色をそのまま楽しみたい場合は、専用の赤花処理液でピンクに戻すことが出来ます。(ただし、赤花処理液を使ったお花は、UVレジン、クリアリウムなどに使用するときは、思うような色にならない場合もあります。)
とっても可愛いですね。押し花はがきにすると喜ばれそうです。
海外のワスレナグサ
アラスカ州の州花

ワスレナグサは、アラスカ州の州花になっています。
アラスカは、アメリカの最北端にあり、その広大な地域の95%以上が、氷河やフィヨルド、森林などです。アラスカと言えば、とても寒いところで、グリスリーがいてオーロラが観測できるところというイメージですが、アラスカの夏には、このワスレナグサがたくさん咲いているそうです。
ターシャ・テューダーの庭
ワスレナグサは、アメリカ合衆国バーモント州の『ターシャの庭』にもよく使われていました。
絵本作家で園芸家のターシャ・テューダー。
ターシャは、56歳の時、長年の夢だったバーモント州の山の中に土地を購入し、古く見える新しい家を建て、自然と寄り添うスローライフをおくりました。
コーギーや鶏などの動物や、お花、子供達を描いた温かみのある絵本も人気ですが、ターシャが一人で作り上げた『地上の楽園』のような美しい庭は、ガーデナー達の憧れとなりました。
2008年92歳で亡くなりましたが、ターシャの生き方や美しい庭は、人々の心の中に温かなぬくもりとして残っています。
ターシャの庭では、さまざまなお花が愛情を持って育てられていました。ワスレナグサもたくさん植えられていました。
チューリップや水仙と混色されたたくさんの水色のワスレナグサ、その水色のフワフワの中をかき分けるように、愛犬のコーギーがのんびり歩く姿、とても癒やされました。
ワスレナグサの曲
忘れな草が含まれる曲の一部です。私を忘れないでという意味があるので、せつない曲が多いです。
中島みゆき 忘れな草をもう一度
尾崎豊 Forget-me-not
さだまさし Forget-me-not
尾崎豊さんの Forget-me-not では、20代前半の希望と不安。世間から見れば極小さなことだけど、とても温かな記憶、ぬくもり。そんな景色が胸を熱くします。
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